「福祉だより信州」9月号(2021/8/25）発行にあたり、長野県内において10施設展開する社会福祉法人サン・ビジョンさんを訪問して、信州福祉事業所認証・評価制度についてお話を伺いました。

Q.「信州ふくにん」の認証を取ろうと思ったきっかけ
福祉人材の確保が当法人の急務の課題でした。そのために職場環境や就労状況の改善に取り組んできましたが、それをアピールするものとして、自分たちのものさしだけではなく県が示している目標として「信州ふくにん」の認証が活用できるのではないかと検討し、取得を目指しました。
採用面における課題の一つに、学校や合同企業説明会など行く先々で「介護は大変」という話からスタートすることです。学生さんだけでなく、教職員の方や親御さんからそういった反応が見られることもありました。しかし、実際に学生さんが当法人の見学にいらっしゃると、職員がゆったりと働いていて笑顔が多いことにびっくりされます。入職後も「先輩が優しい」という声が多く、職員満足度調査から94％のかたが「仕事にやりがいを感じる」と回答されています。こうした現状も踏まえ、入職時の安心ポイントとして「信州ふくにん」の取得によりイメージとのギャップ解消を目指しています。

Q.法人としての特徴的な取り組み
業務の効率化と正確な記録管理、情報共有を目指して、介護記録は全てスマートフォンで行っています。職員がケアの内容や利用者さんの状態などを現場で入力すると、請求業務に連結する仕組みです。国が構築した科学的介護情報システム「LIFE」への報告にも活用でき、入力したデータは分析され、フィードバックを受けて職員の業務改善につなげることができます。これにより、職員の負担が軽減できて超過勤務を減らすことができるうえ、利用者の状況を即時入力、情報共有を図れます。
なお、当社では15年ほど前から介護記録をリアルタイムに登録できるポイントケアシステムを導入するなど、新しい取り組みに意欲的にチャレンジしてきました。また、介護用ベッドの開発も行い、ベッドが分離して車椅子となる離床アシストロボット「リショーネ」を発売元のパナソニック様と共同開発し、導入しています。「ノーリフティングポリシー」の考え方をもとに、利用者様への負担軽減や機能回復、職員の身体的負担軽減につながるよう進めています。

Q.力を入れている取り組み
産休・育休制度の利用を奨励しており、取得後に復帰する職員が多くおられます。1年間の育休で復帰が難しい職員は半年間延長ができ、託児所や幼保連携型認定こども園を併設している施設もあります。また、出産に合わせて一度退職されたのち、パートや時短正職員として復帰され、自分のライフサイクルに応じて再び正職員に戻る職員もいます。
毎年新人職員を対象に満足度調査を実施しております。（回答は施設長や管理者を通さず新人職員が直接本部にファックス）その中でも満足度100%の項目が「先輩が優しい」というものです。先輩たちが入職時の苦労を後輩には経験させないよう努める風土が根付いています。また、職員全体の満足度調査においては、94%が「仕事にやりがいがある」と回答しています。利用者の皆様やご家族に向き合い、働きやすい職場環境をつくる法人の努力も評価いただいていると感じます。

Q.資格取得の支援、キャリアパスについて
介護福祉士やケアマネージャーなどの業務に必要な資格の取得費用は、全額法人が負担し、研修日程の半分は勤務として受講できます。
キャリアパスは年功序列ではなく能力とやる気を重視し、学歴も問わず、職責と給与が連動しています。人事考課は自己評価と他者評価からなる評価シートを活用し、施設長との面接を踏まえ、キャリア形成を支援しています。特に入職時には不安が大きいことから、入職3日目・1週間・1カ月で管理者との面談を実施するなど現場だけでなく、施設としてサポートを行っています。自分のキャリアについては、希望に応じてさまざまなチャレンジができキャリアアップが図れます。

Q.「信州ふくにん」認証取得後の変化
就職説明会などで「信州ふくにんは長野県知事が認証している制度」と伝えることで、客観的な評価をもらっている点から安心して話を聞いていただきやすいと感じるメリットがあります。また、就活イベントでは希望する場所（ブース）を優先して選ぶことができるなど優遇していただけることもありました。

Q.「信州ふくにん」認証をめざす事業所へのメッセージ
「信州ふくにん」の認知度についてはこれからの部分もありますが、介護業界のイメージアップや公的認証制度を取得している安心感を持っていただけます。私たちも、採用活動には有効だと感じています。信州ふくにん取得企業が増えることで、福祉業界全体の活性化、就労環境の改善が見られることを期待しています。